マンションの火災保険とは?戸建・賃貸との違いや補償対象を解説
火災保険は、建物に住む人は加入がほぼ必須な保険です。
マンションなどの集合住宅に住む人は、戸建てに住む場合と違ったリスクがあります。
分譲・賃貸などのマンションに住む場合に知っておきたい、火災保険の知識をご紹介します。
火災保険の基礎知識
火災保険の定義や仕組みは、複雑でわかりにくいものです。
知識不足で損をしないよう、火災保険のそもそもの定義やよくある勘違いを確認しましょう。
火災保険の定義
火災保険の定義は、以下の通りです。
火災保険とは
火災保険とは、建物と建物の中にある家具や什器などを「保険の対象」とし、補償する保険です。
保険の対象である、家屋や家具などの被害に応じて、保険会社から保険金を受け取ります。
受け取った保険金は、被害箇所の修理などに充てることができます。
この保険金を受け取るには、書類による申請が必要です。
補修や修理に必要な保険金を受け取れるか、金額はいくらかを判断するのは、保険会社です。
保険の利用者は、申請時の書類や現地調査などで、被害状況をもれなく説明する必要があります。
補償対象となるもの
火災保険は、火災以外にも、自然災害や事故による損害も、補償の対象になることがあります。
一般的な火災保険の補償対象は、主に次の5パターンに分けられます。
火災保険の補償対象
- 火災:失火・もらい火・放火などで住宅が燃えてしまった場合
- 落雷:落雷で住宅や家電製品が壊れた場合
- 破裂、爆発:ガス漏れなどによる破裂や爆発、ガスに引火して住宅が燃えてしまった場合
- 風災・雹災・雪災:強風・雹・大雪で、住宅の屋根など破損した場合
- 水災:台風や集中豪雨などで、住宅の屋根が破損・床上浸水した場合
火災保険と聞くと、火事で家が燃えてしまったときだけを想像しがちですが、火災保険で補償される対象は火災だけではありません。
補償の対象となる条件は、3年以内の自然災害による突発的な被害で、経年劣化ではないことです。
自然災害や、水濡れ・盗難などの日常生活における事故についても、補償の対象になることがあります。
特に、マンション用の火災保険であれば、集合住宅ならではの漏水などのリスクも補償の対象に含まれる場合があります。
保険の申請期間は3年以内です。
被害を受けてから3年以内に申請しないと、本来なら受け取れるはずの保険金が受け取れなくなる可能性があります。
損をしないためには、3年が経過する前に、被害が生じてからなるべく早いタイミングで、申請することが重要です。
なお、保険会社によって補償の対象は異なるため、保険証書などを確認しましょう。
火災保険でどれだけ負担が軽くなるか?
お気軽にご相談ください
火災保険に加入しているにもかかわらず、有効に活用できていないお客様が多数いらっしゃいます。
もしかすると修繕が必要な屋根や外壁の費用は火災保険で賄えるかもしれません。お気軽にご相談ください。
火災保険でよく起こる勘違い
火災保険に関するよくある勘違いは、補償の対象にならないと自己判断してしまうケースです。
特に、自然災害や事故による損害、過去に起こった損害箇所などは、補償の対象外と認識してしまう方が多いのが現状です。
3年以内の自然災害による突発的な被害であれば、補償の対象になることがほとんどです。
本来保険金を受け取れる損害にもかかわらず、申請せずにいることで、保険料の払い損になります。
火災保険の契約期間内であれば、火災保険は何度でも申請できます。
例え過去に1度保険金を受け取ったとしても、その後の保険料が上がることはないため、安心して申請しましょう。
また、加入する火災保険は自由に選択でき、契約期間でも途中解約や補償内容の見直しが可能です。
特に住宅の購入や賃貸の際には、金融機関や住宅会社から特定の火災保険商品を勧められることがあります。
しかし、火災保険と他の商品のセット販売は、保険業法で禁止されています。
どの家を購入・賃貸しても、火災保険やプラン内容は、自由に選択して問題ありません。
ただし、混同されやすい地震の被害については、火災保険では補償の対象外になります。
地震リスクも対策しておきたい場合には、火災保険と同時に地震保険にも加入する必要があるでしょう。
マンションに住む人が気をつけたいポイント
マンションに住む人は、いくつか火災保険で注意しておきたいポイントがあります。
特に、マンションの場合には、共通の建物で隣の住居とつながっているため、戸建てとはまた違ったリスクまで検討しなくてはなりません。
分譲や賃貸のマンションに住む人が火災保険で気をつけたいポイントを、確認していきましょう。
戸建ての場合との違い
戸建てとマンションの火災保険の違いの一つは、「共用部分」と「専有部分」を分けて考える必要があることです。
共有・専有部分とは
- マンションの共用部分は、マンション全体で管理する部分のこと(ベランダ・共用廊下・階段・物置・管理事務室など)
- マンションの専有部分は、マンションを購入した人が所有している部分のこと(居住スペースなど)
戸建ての物件の場合には、自分の土地内がすべて専有部分にあたるため、どこまでが責任を持って保険をかける範囲かわかりやすいでしょう。
一方で、マンションは共用部分と専有部分に分かれています。
居住者が責任を持って保険をかける必要がある範囲は、専有部分のみです。
また、マンションならではのリスクとして、主に火災時の延焼被害と漏水が挙げられます。
火災では、出火元の家庭以外にも燃え広がる「延焼」や、スプリンクラーによる浸水が起こる場合があります。
しかし、法律の定めにより、原因が重大な過失や故意でなければ、自分に非がなくても火元になった家庭から損害を補償してもらうことはできません。
火災については被害者であっても、自分が加入している火災保険でまかなうことになります。
漏水は、被害にあった下の階の住人から、上の階の加害者へ個人賠償責任を問われることがあります。
マンション用の火災保険には「個人賠償責任特約」のオプションが用意されているため、心配な方は追加を検討しましょう。
分譲マンションの場合
分譲マンションは、ローンを組んで購入されることがほとんどです。
万が一、自然災害や火事による被害で建物が倒壊・全焼した場合でも、住宅ローンの残高はゼロにはなりません。
建物がないのに、ローンだけを払い続けることになってしまいます。
また、マンションは上下や隣の住居と隣接している分、隣家と距離がある戸建てよりも、近所から思わぬ事故などの被害を受ける可能性が高くなります。
ローンを加入する際には、ほとんどの場合一緒に火災保険に加入することを勧められます。
必ずしも紹介を受けた保険に加入する必要はありませんが、何かしらの火災保険には加入しておくようにしましょう。
賃貸の場合
住んでいるマンションが賃貸物件の場合には、自分の家財と損害賠償責任に着目して保険を選びましょう。
賃貸物件には、一般的に大家さんと呼ばれる物件のオーナーが存在します。
賃貸物件はオーナーの所有物であり、住む人の持ち物ではないため、分譲タイプのマンションとは保険のかけ方が少し異なります。
賃貸物件に住む場合、建物以外の家財については、自分で保険をかける必要があります。
万が一隣家からもらい火をしてしまった際にも、隣家から損害賠償請求することはできません。
自分の部屋からの出火はもちろん自分で保険をかける必要がありますが、もらい火が原因の火事であっても、自分の家財は自分で保険をかけておきましょう。
また、損害賠償責任の保険も重要です。
火災の原因に重大な過失がなければ、損害賠償責任を問われることはありません。
しかし、入居時に行う賃貸借契約にて、部屋を借りる入居者には原状回復する義務が課せられています。
もし火災などで建物に損害・焼失などがあった場合には、原状回復させられないと損害賠償責任が生じます。
以上の責任から身を守るためにも、賃貸マンションの火災保険なら、「家財保険」と「借家人賠償責任保険」の2点を確認しましょう。
火災保険申請の方法
マンションで火災や自然災害、事故の被害に遭ったら、被害に対して保険金が受け取れる場合があります。
火災保険で保険金を受け取るには、火災保険申請が必要です。
申請の内容と起こりがちなトラブルを把握し、スムーズな申請を行いましょう。
火災保険申請の内容
火災保険申請の際には、以下のステップを踏む必要があります。
火災保険申請の内容
- 保険会社への連絡
- 修理業者への連絡・見積もり依頼
- 書類(保険金申請書・事故状況説明書)の作成
- 保険会社へ書類送付
- 申請の承認結果受け取り
- 修理業者との打ち合わせ・修理
火災保険申請では、被害が生じたことを保険会社へ伝え、被害状況を説明しなければなりません。
申請の際には、保険会社や修理会社に連絡したのち、保険会社ごとに定められたフォーマットに沿って、被害状況の記入・根拠となる資料の添付をして提出します。
不備のない書類を送った後も、審査内容によっては、被害の説明や現地確認への立ち合いを求められることもあります。
保険会社は、すべての被害状況確認を終えてから、補償の対象であるかを審査します。
審査に無事通った場合にのみ、被害に対する保険金が支払われます。
火災保険申請の難しさ
加入者が火災保険申請で最も手こずりがちなのが、書類の作成です。
書類は、保険会社から届く「保険金申請書」と「事故状況説明書」のフォーマットに添って記入します。
修正で再送する手間がないよう、不備や誤字・脱字なく記入する必要があります。
保険金を受け取れるように工夫するならば、書き方やコツを調べながら行うことになり、時間と手間がかかります。
また、提出の際には、5枚以上の被害状況の写真・修理費用の見積書を添付します。
特に、被害状況の写真は、保険金の審査で参考にされる資料です。
被害がしっかりと伝わるように、写し方も考慮しましょう。
火災保険申請は、保険金を受け取るまでに気をつけるポイントがかなり多く、複雑で難しい手続きだと言えます。
火災保険申請のよくあるトラブル
火災保険申請は、近年悪徳業者による詐欺などのトラブルが相次いでいます。
ここ数年で自然災害による被害件数が増加していることから、修理業者やサポート業者によるネット広告や訪問販売が増えています。
健全な火災保険申請サポートを行う業者も多い一方で、「火災保険を利用すれば、家の修繕を負担なくできる」などの謳い文句で契約を結んだ上で、実際には火災保険申請をせず、後々高額請求してくる業者もいます。
火災保険申請のサポートを利用する場合には、業者選びに注意する必要があります。
まとめ
マンションなどの集合住宅に住む人は、戸建てに住む場合と違った火災や事故時のリスクがあります。
分譲・賃貸などのマンションに住む場合には、適切な火災保険やオプションを選択しましょう。
火災保険申請をする際には、火災保険申請サポートの活用も可能です。
損害箇所が補償の対象となるかどうか、下記リンクから確認してみましょう。
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